その手をぎゅっと、離さないで


「おじゃまします…」

今日は光輝と初お家デート。

テスト前だから光輝の家で勉強させてもらうことにした。

「おーうこっち座ってしようぜ」

なんかすごく緊張する。

いつも隣にいるのに…。

家だから?

そんな下心持たない…!!


「ふわぁ~!もう3時間もやってるぜ?
桜華、集中力あるな~…」

「私、いつも5時間くらいはしてるよ」

疲れるけど、中学の時に全然してなくってひどい点数をとったことがある。

だからそれくらいはしなくちゃ。

今も、これからも。

もっとしなくちゃ夢が叶わないかもしれない…しね。

光輝にあんな風にもなってほしくないし。

「じゃあ、桜華は大学どこ行くんだ?」

「都大か鳳大の医学部…かな」

「ええっ、日本でもトップクラスじゃねぇか!」

「…夢、叶えたいから……」

でも大切な人ができた。

離れ離れになりたくない…。

どっちも欲張りにとっちゃうことはできないの…?

「…そっか……」

でも…、やっぱり夢は叶えたいの。

ごめんね。

本当にごめんね。

光輝を一番にできなくて。

それくらい、叶えたい夢なの…。
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