その手をぎゅっと、離さないで

「なぁ桜華、キス…」

「が?」

「…キスしていいか……?」

カァッと私の顔は熱くなる。

そういえば今まで1度もしたことがなかった。

『ゆっくり、自分たちのペースで』ってよく聞くから、流れに任せていた。

『する時が来たらいいや』と。

でもいざとなったら…。

恥ずかしい、恥ずかしすぎる…!

光輝は言っときながら照れて下を向いている。

「う、うん。わかっ…」

私の声を光輝の唇で遮られた。

暖かい。

体中が光輝に支配されていく…。

このままずっとこうしていたい…。

「はずーいー…」

「馬鹿!光輝の、ばかー!」

漫画や小説ではあんなに簡単にするのに、これだけ恥ずかしいとは…。

心臓のドキドキが止まらない。

落ち着け…。

「桜華ぁ~」

「な、なに…」

「大好き~」

「なんなのいきなり~!」

私を抱きしめながら言う。

可愛い…。

私だって大好きだよ?

光輝に負けないくらい…。

その想いがこれからも通じ合うのかな…?
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