その手をぎゅっと、離さないで


土曜日。

運命の手術の日だ。

五時間程で終わるらしい。

私はあっきーの両親と手術室の前で手を合わせて待っていた。


だが、三時間が経過したくらいに手術中のランプが消えた。

嫌な予感がした。

その予感はやはり的中。

あっきーは死んだ。

手術中に息絶えた、と。

私は泣いた。

だけど、あっきーの両親は泣かなかった。

あっきーママは…。

怒っている…?

泣いていてあまり記憶がないからわからないけど、手術の担当医に怒鳴っていた。

私は泣き止んで、あっきーママに話を聞いた。

『手術の成功率は八十パーセント以上だったの。
それなのに、明裕は死んだの…』

それは私も知っていた。

だが、手術中に息絶えたなら仕方がないのではないのかな。

と思っていた。


あっきーのお葬式が終わって一週間。

あっきーママは毎日病院に通い続ける。

担当医に抗議をしているのだ。

今日は私も連れて行ってもらった。

今日は担当医だけでなく、手術に携わった看護師さん、院長先生までもいた。
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