その手をぎゅっと、離さないで
次の日、アタシは彼に別れを告げた。
既に今住んでいる東京に引っ越すことに決まっていたから気まづい日は少なかった。
(もう…恋なんて絶対しない…できない。)
さらに、男子も嫌いになっていた。
なのにその時、恋をしてしまった。
「桜華、やっぱり言うね」
心臓がバクバクうるさい。
「んー?なに?」
「私…吉岡君の事、好きになっちゃったみたい
…です」
桜華が目を見開いて私を見た。
そりゃ、男子が嫌いって言うほどだからビックリしただろうな。
「やっぱり~?」
え?
バレてたの?
アタシがポカンとしていると、
「光輝に恋をしてたのはビックリしたよ?
でも最近、廊下の方をチラチラ見てるのは
バレバレだったよ!」
えっ、そんなに!?
「な、なるほど」