その手をぎゅっと、離さないで


「光輝とクラス違うのに、どうやって知り
合ったの?」

「えっとねぇ…」



アタシが恋した時の話をした。



「そんな事があったんだ!?
もー。早く言ってよ!」

「ごめんごめん。
でも吉岡くん、彼女いるから…。」



それは未央から聞いた。
未央もバスケ部だから吉岡くんとよくそんな話をするらしい。




「あー。ってえ!?噂だけだと思ってた」

「うーん。でもアタシまた引っ越すの」

「またか~。て!?は!?
流れに乗ってそんな事まで言っちゃう…」



あ、やっぱ桜華の事だから…






「ごめんね。でも聞いたのはお盆明け」

「そうなんだ。いつ…引っ越すの?」

「……まだ聞いてない。
でも今年中はいるよ!」

「まだまだじゃん!良かった~。」

「うん!」



それでもやっぱり重苦しい雰囲気。沈黙が続く。


―――カチッ,カチッ,カチッ,カチッ――――――





30分。もうさすがに限界。



「桜華、ごめん。帰るね。
話してくれてありがとう!」


「こちらこそ!稚菜も聞かせてくれてありが
とう。頑張ってね」







どうせ振られるなら…

引っ越すまでに伝えなきゃ。


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