その手をぎゅっと、離さないで




――――――体育祭が終わり、もう10月。

10月なのにもう肌寒い。

稚菜は1月の頭に引っ越す事が決まったらしい。



「稚菜~。さぶーい。」

「桜華、いたいってば~!」

「えへへ。」


この何気ない会話だって1月からはもうなくなっちゃうんだよね。

「そういえば、10月って湯浅の誕生日しょ?
祝うよね?」





そうだ…

忘れてた。
10月25日は大輝の誕生日。

「…そ、そうだった。
祝っても…いい、のかな。」


大輝と別れてから3ヶ月。

もう赤の他人と言っても過言でない関係ないなのに…。
いいのかな。


「は?何言ってんの!
誕生日祝ってもらって嫌な人いないよ!
桜華が好きになった人だから、そんなこと
は100%無いと思うよ。」



やっぱりまだ諦めれない。

でももしこれが大輝にとって迷惑なら…

ううん。
ネガティブなことばっか考えない!!!




「わかった。まだあと2週間以上あるし心の準
備も整うと思う。送ってみるね!」



って言っちゃったけど…ふあ…ん。

顔に出てたかな?

その感情を読んだように稚菜がにらんでくる。


そんな嫌そうなの…かな?


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