その手をぎゅっと、離さないで
「…――――――ら!」
「桜華ああ!!!!」
「んん!?
フフッ!稚菜すごい顔してるよ!?」
「……やっと気づいた」
ボーッとしていたから声をかけられたのだろう。
それにしても稚菜、すごい顔してる…(笑)
「……愛花姫の奴隷が呼んでる」
「…あーあ、行かなきゃ。
奴隷って、笑えるあだ名だね~!」
「ホントのことだしー!」
愛花姫の奴隷って言うのは、いじめる標的を呼び出してくるだけ。
愛花姫とはうわべだけの仲の子だ。
愛花姫の奴隷も気づかないのかな…
愛花姫の性格全くわかってないね。
自分がいいように利用されてるだけなのに。
私を呼び出した奴隷さんは気が強い奴隷だった。
「桜華、行くの?」
「ううん、行かない。
あの奴隷と話つけてくる」
これで2度目のお呼び出し。
1度目は私のクラスの子が愛花姫に脅されて私を呼び出したらしいんだけど…
「柳下、ちょっときて」
「あなたは私に用ないんでしょ?
用があるのは愛花姫でしょ」
「そうだけど…
呼んで来いって言われたから、さ」
気の強い奴隷も本当はわかってるんじゃない、自分が利用されていることを。
でも中学時代からこの人は知ってる。ちょっと厄介な性格かも。
でも…
「あのね、愛花姫はあなたをいいように利用
してんの。私もそうだった。
だから言わせてもらうけど、自分の気持ち
とか意見をね、ちゃんと言うことも大事だ
と思うよ。」