その手をぎゅっと、離さないで




――――――っとこんなとこかな。



「…んで…か……の。」


光輝の声がかすれて聞こえた。

「なんて?」


「なんで別れたのか、聞いてないのか!?」


あ、そういえばそうだな。
理由聞いてないや。

「聞かない方がいいと思って…。」



「…でも……。

でもお前は知りたいんだろ!?
大輝は理由もなく別れるようなやつじゃな
いだろ!お前が選んだ人だろ!
逃げてんじゃねぇよ!」




そっか、私…

理由を聞くのが怖かったんだ。
嫌われたから振られた。
だから大好きな大輝に理由を聞くのが怖かった。




「…っ、光輝、私逃げてた。
私が辛い想いするから、聞かなかった」


「…」


「へっ?」

「いや、なでなでしてあげてんだよ。
よく答え出せた。
自分の口で言えた。
お前は昔みたいに弱くないな。
上等上等!!

すぐ泣く癖を直せば完璧だ〜!」


「えへへ、途中まで良いこと言ってくれたの
に…うるさーい!!」




なんか照れるな。
こんなの話したの稚菜くらいなのに…。

こんなにバカにされても嫌な気にはならない。
この人の周りにはたくさんの笑顔があるんだなって感じれるよ。

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