その手をぎゅっと、離さないで


「アタシも人にあまり話したくないのはわか
るよ。


けどね、桜華なら何を話しても大丈夫だ
なって仲良くなってから思うようになっ
た。

こんなこと思ったの桜華が初めてだった
の。だから……


桜華もアタシに話してほしい!」



実際、引越しが多かったアタシは親友って呼べる友達、本音でぶつかりあえる友達はいなかった。

というより作らなかった。

作ってしまったら……




別れるのが辛いから。

大切な人と離れ離れになったら誰でも未練の情が残るであろう。

でもこんなの全部自分のため。
相手のことなんてなんにも考えてなかった。

だからアタシは考えを変えることにした。



――――''自分のためじゃなくて
相手のことも大切にする''―――


柳下桜華という大切な人出会えたから決意できたこと。





「私もちゃんと話すね!でも…」



桜華が黙り込んだ。

「桜華?でもの続きは?」

「………」

「どうした、」

「でも私のことを嫌いにならないで!」



アタシの声をさえぎって桜華が言った。


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