その手をぎゅっと、離さないで
「…えっ、おい!桜華!?
お前何してんだよ!?」
あーあ。
なんでここで鉢合わせ…
しかもよりによって光輝に見られてしまうとは…。
疲れて返事も適当になっちゃったな。
「見てのとおり。
保健室行かないとなー」
「おい…それ…担任とかに言わねぇと…」
「…大丈夫だから!
光輝、授業間に合わないよ?」
わざと笑顔をつくって返事をした。
だけど光輝は…
「暴れんなよ!」
「…ひょえっ!?」
光輝が私をお姫様抱っこして保健室へ向かってくれてる。
「ちょっとなにしてんの!?
光輝も濡れちゃうじゃん!」
「俺にはビチョビチョの女見てほっておく奴
の神経がわからねぇよ。」
水のせいで体が冷えていて光輝の暖かさが伝わってくる。
「…っ、光輝っ、ごめんっね」
「好きなだけ泣け。
俺は大丈夫だ。
けど怒りはおさまんねぇよ…」
ラッキーなことに保健室には誰もいなかった。
光輝は私が寝るまで側にずっといてくれた。
「……ちょっとは俺に頼れよ…。
いつでも聞いてやっからよ!」
「光輝や周りの人にも危害が及ぶもん…。」
残り一週間だし、頑張るしかない。
「…また、話聞いてやるからな」
そして私は眠りについた。