その手をぎゅっと、離さないで
二学期最後の部活がハードル練だなんて…
体が硬い私の苦手なメニューだ。
「柳下、こないだトイレでなんかあったん?
僕の友達が話しとったん聞こえたんやけど…
大丈夫なんか?」
桜庭か…
「うん、大丈夫だよ。
ごめんね。いつも心配させて。
隣の席で迷惑だよね…」
「僕なんかなんもされてれんで大丈夫やで!
自分の心配しなよ!」
はぁ…。
もうこの話はしてほしくないな…
あと2日で会わなくて済むのにさ…
でも、心配してくれてる人がいるだけで私は充分幸せなのかな…
「桜華〜!
早く帰りたくて迎えに来ちゃった!」
「うん、帰ろっか〜♪」
帰ろうとした時…
――――――愛花姫だ…
「ちょっと桜華ぁ〜」
まさかまた…
もう嫌だ…
なんで私がこんな目にあわなきゃいけないの…
そう思うと涙が出てきそうだった。
「あ、そういう話じゃないから。
稚菜ちゃんもこっち来て〜!」
そういう話じゃないって何?
稚菜が隣にいるけど、心臓の音が聞こえそうなほどうるさい。
さらに、愛花姫たち6.7人に囲まれた。