その手をぎゅっと、離さないで

ここで楓華ちゃんが学校に来てないって言うと桜華は絶対自分のせいにするだろう。

楓華ちゃんと仲が良かったのは桜華。
その桜華がイジメられていたら次、もしくは連動して二人がイジメられているって考えるだろう。

「ねぇ、稚菜…お願い…。言ってよ!」

やっぱり言うしかないのかな…
桜華が心配そうに、少し機嫌の悪そうな顔をしている。

「あ、あのね…
実は楓華ちゃん…




最近学校に来てないらしいんだ。」

「あ、うん。そうみたいだね」

あれ?

「桜華、知ってたの!?」

「知らなかったけど、全然見なかったから来
てないのかなとは思ってたよ。」


てことは…
イジメられていることをわかって…!!

「…桜華……
なんで来てないか知ってるの?」

「…」

「やっぱ知ってるんだ?」


そりゃ、知ってるよね。
アタシより付き合いの長い親友なんだからさ。



「でも、楓華も特に理由もなく私を省いた。
だから愛花姫たちと同類だと思う…。」


親友に裏切られたら憎むべきか…
許すべきか…

桜華はその狭間を…
心の中でさまよっているのかな。

「長くなりそうだし…どこか寄らない?」

「私の家の近くに新しくドーナツ屋さんでき
たんだ〜!
行こうよっ!」
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