その手をぎゅっと、離さないで
「吉岡くんに彼女がいることは知ってます。
アタシ、冬休み明けに引っ越すの。
…だから、好きだった想いだけでも伝えた
かったんです!」
「…」
アタシは顔をあげられないし、沈黙が続く。
勇気を出して顔をあげたら…
「なんか…照れんじゃん……。」
「……えっ…?」
そこには、夕日のせいか顔が真っ赤になってそっぽ向いている吉岡くんの顔。
「振られるってわかってて俺に告ってくれた
んだろ?
勇気…なきゃ無理だったろ。
ちょっと…そ、そのすごいっていうか…。」
いきなり褒められたからアタシも驚いた。
「……ありがとう…。」
「稚菜…頑張ったね。」
桜華もアタシたちと合流していた。
「そうか〜、長野ちゃん引っ越すのか〜。
また会おうな。」
「えっ…」
アタシはいつの間にか吉岡くんに頭を撫でられていた。
そして頬には暖かいものが何度も流ていた。
桜華の頬も目も無数の光でいっぱいだった。
「吉岡、桜華のことよろしくね!
じゃあ!」
アタシはいそいで家に帰って今日も布団にダイブ。
「告白ってこんなに大変だったんだな〜。」