その手をぎゅっと、離さないで


「あ〜!疲れた!こりゃ、明日は筋肉痛だー」

文化財巡りは歩くことが多く、かなり疲れた。

「見るのは楽しかったけど、移動が多かったね」


ホテルは班の女子三人で過ごす。

「私、先にシャワー浴びてもいいかな?
眠気覚ましに浴びてきたいの」


たぐっちゃんがシャワーに行っている間、宮本ちゃんと二人っきり。

二人っきりでも結構話は盛り上がってきた。

「桜華ってさ、湯浅と付き合ってたじゃん
なんで別れたの?」



修学旅行のホテルといったら怪談話だと思ってネタ用意してきたのに…

恋愛話ですか。


「振られちゃったんだ
しかも直接じゃなかった…」

「…そ、そうだったんだ。
ごめん、なんか嫌な事思い出させちゃって…」

「だ、大丈夫だよ!
宮本ちゃんは好きな人とかいるの?」

無理に笑顔を作ってしまった。

「あー私は見ての通り、サバサバしてるから
女子にモテちゃうわ!」

「宮本さんは美人さんなのにね〜」

たぐっちゃんがあがってきた。

「そういうたぐっちゃんはどうなんよ?」

「え、わ、私は…」


えっ、たぐっちゃん好きな人いるんだ!?

宮本ちゃんも同じことを思ったのか、私と同じ目をしている。

「ずばり誰なの!?」


たぐっちゃんはおっとりしてて「恋愛?なにそれおいしいの〜」って感じの子だと思っていた。
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