Savior-社長は救世主-
気持ちが滅入っている時に
不幸を引き寄せるのだろうか…
忘れていた気持ちが
一気に現実に引き戻されたのは
勤務中に珍しく鳴った私のスマホ
メールではない振動に
ポケットの中からスマホを取り出す
今は勤務中のため出るわけにはいかない
が、画面を確認すれば
滅多に連絡をよこさない父親からだ
いつもは母親から連絡が来る
だから父親から連絡なんて
何事だよ、と不安がよぎった
もしかして何かあったのか…
だが、勤務中に電話に出るわけにもいかず、そのままポケットにしまいこんだ
そして、お昼時間
事務所の隅でスマホを耳に当てる
誰に電話してるんだ?と
社長の目から伝わってくる
『もしもし、お父さん?』
「澪か、悪いな仕事中に…」
『ううん、それよりどうしたの?お父さんから電話なんて珍しいね』
まさかお母さんに何かあった?
不安もあり、私は早口になってただろう