Savior-社長は救世主-

もちろん、私の鍵にも
同じイルカのキーホルダーが付いている
二つを合わせるとハートになる…


部屋を見渡せば、和弥の物が殆どない
和弥が好きだった洋画のDVDや
和弥が愛用していたクッション
いつでも好きなコーヒーが飲めるようにと買ったコーヒーマシンも無くなっていた

もしかして、と思い
寝室のドアを開ければ
和弥の枕すら無い
クローゼットを開ける


『…無い』


和弥の服は無くなっていた
全ての引き出しを開けたが
靴下一つも無かった


まさか…本当に死ぬ気だったのかと
改めて思うと、悲しくなった

いつ間違ったのか、
いつから私は和弥の事を
見ていなかったのか…


もっと向き合えば違っていたのかも、
色々な事が思い出され
次から次へと涙が溢れてきた


社長は何も言わず
ただ、私が泣き止むのを待っていてくれた
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