Savior-社長は救世主-

「こもりー、帰るぞ」


『あ、はい。カップ洗ってから行きます』


今まで社長は優さんと常に一緒だった
朝も社長が優さんを迎えに行き
帰りも優さんを送る

藍さんが妊娠後期にさしかかり
すぐに動けるようにしたい、と
優さんは車を購入した

なので、今は仕事が片付くと
藍さんの元へ早々に帰っていく

前から感じていた事だが
それでいいと思う


事務所の電気を消し鍵をかけた
よし、と階段を降りた


記憶が戻った後
あの嫌な応接室は撤去された
また思い出さないように、と…

今まであった二人掛けのソファの位置に
社長の机が移動された


「俺がここにいる、嫌な記憶の塗り替えになるだろ?なんなら、ここで…」


と、いやらしい手つきで私の頬に触れた手を私は遠慮なく払ってやった
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