Savior-社長は救世主-
和弥も頭を下げているのが見えた
自分が雇い主で、危ないから送ったとでも言ってくれたのだろう
社長がこちらへ歩いてきて
助手席のドアを開けてくれた
「勘違いはしてないみたいだ」
和弥には聞こえないように言ってくれた
社長の車から降り
送ってくれたことにお礼を言い
また明日、と社長は車に乗り込んだ
「澪」
その声に私は振り向くことができない
クラクションを鳴らし、社長の車は行ってしまった
ポン、と私の肩に手を置く和弥
和弥の手が冷たい
いつから外で待っていたんだろう
藍さんのアパートから出るとき
スマホを確認したが着信はなかった
安心して連絡しなかった私のミスだ
「アパートに入ろう」
私は頷き和弥とアパートへ向かった
