秘密の契約
立ちすくんだまま足が動かない。



それどころか千波くんの側に行きたい。



何かに悩んでいるのならば癒してあげたい。



「日菜?」



イスに座ったままもう一度振り返った千波の瞳は怒りを秘めているように見えた。



「いや……」



日菜がかぶりを振る。



「日菜、今は君の相手をしていられない」



首を振る日菜に深くため息を吐いた千波はそう言うと日菜に背を向けてしまった。




< 300 / 684 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop