秘密の契約
その声に日菜は驚いてはじかれたように千波から離れた。



瞳が潤んでしまった日菜は手を目にやってこすった。



こすって涙を拭くとつらそうな目と目があった。



「日菜、ごめん……泣かせたくないのに……」



日菜の涙を見て千波がイスから立ち上がった。



「あたしがいけないの……千波くんの気持ちも考えないで来たりしたから……」



後ずさりもう少しでドアの所まで来た時、千波が日菜を抱き寄せた。



「きゃっ……」



ぎゅっと抱き寄せられて心臓の音が聞こえそうだ。



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