秘密の契約
着付けが終わった姿を全身が見られる鏡を見た。



真っ赤な振袖はあたしより萌のほうが似合っているのに。



真っ黒な髪はこの振袖に映えるだろう。



自分の茶色い髪はなんとなく浮いて見えて自分の姿が好きになれなかった。



「日菜~?用意は出来た?」



「う、うん」



返事と同時に障子が開いて母が顔を覗かせた。



「あら~ 日菜、すごくきれいよ 千波君にも見せてあげたいわ~」



母は振袖姿の日菜を見て嬉しそうだった。



「さあ、行きましょう」




< 425 / 684 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop