秘密の契約
「あやめ……邪魔しないでくれるか?」



「何言ってるのよ 日菜ちゃんにはいい迷惑だわ 女子高校生を捕まえて28歳のおじさんなんて」



そういうあやめは萌のようなきれいな黒髪を結って、黒地の大きく艶やかな花の着物を着ていた。



「10歳の年の差ぐらいは包容力の大きさでカバーするさ」



しれっと言い切ってしまう夏葉にあやめがため息を吐いた。



「日菜ちゃん、久しぶりね お正月以来かしら」



あやめは日菜に向き直って言う。



「はい お正月以来ですね」



ニコッと笑顔を向ける。



「今日はおば様と一緒?」



「はい お父さんが来られなくなったからって」




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