秘密の契約
すっかりあやめの話に驚いて部屋にいる千波の事を忘れてしまった。



千波は日菜に頷いた。



自分の方を見た日菜は泣きそうに見えた。



まだ成人にもなっていない日菜にあんな話を持ちかけるとは……。



千波は怒りを押し殺して日菜の隣に座った。



長い足と腕を組んで座った姿は威圧感に満ちている。



千波の突然の出現にあやめが驚いていた。



日菜も戸惑った表情で隣に座った千波を見る。



「よくもそんな事を言えますね?」



あやめに言う千波の声は冷たく聞こえた。



千波くん……?


こんなに冷たく聞こえる千波の声は聞いた事がない。






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