秘密の契約

「千波くん、もうマンションへ帰ったかな？」



携帯の時計は１０時だった。



今日は水曜日、週の半ばだからお仕事忙しかったかな？



日菜は千波の携帯に電話をかけてみた。



プルルルル……



何度か呼び出し音が鳴って電話を切ろうとした時、女の人の声が聞こえた。



『はい？』



きれいな少しハスキーな女性の声に日菜は携帯を落としそうになった。



「えっと、あの朝倉さんの携帯ですか？」



やっと言葉が出た。



『はい　そうです　ごめんなさいね　朝倉は今、席をはずしています』



なれた感じの言い方に日菜はショックを受けた。



「わかりました　またあとで電話をします」



『今日はまだ忙しいの　後日にしていただけませんか？』



と、いきなり言われて日菜はびっくりした。