秘密の契約
玄関を出て歩いていると後ろからポンと肩を叩かれた。



「よっ 日菜 おはよう」



横に並んだのは郁斗。



「郁斗 おはよう 今日は朝練なかったんだね?」



「もうすぐ期末考査だろ?」



「そうか……」



「変な奴 朝からボケボケしてんなよな?幸せボケか?」



この間のデートを見ても兄貴とうまく行っているんだなと安心していた。



「もうっ!幸せボケって……」



「日曜日、お互いしか目に入らない状態だったじゃん」



日菜の頭を小突く。



「そんな事ないよ」



郁斗と話をしていても昨日の女の人が気になって仕方ない。



「兄貴とうまく行って良かったな」



「……うん」



すぐに返事を出来なかったのは昨日の女性のせいだ。



「なんか変だな?」



大好きな兄貴と想いが通じ合って有頂天になってもおかしくないと言うのにな。



「そ、そんな事無いよ」



日菜はかぶりを振って先を急いだ。



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