秘密の契約

不安2

千波と先ほどの青年に挟まれて座らされてしまった日菜は落ち着かなかった。



彼らが行った場所は近くの洋風居酒屋。



日菜は所在なげに座っていた。



「日菜、ごめんね 用があったんだろう?後で聞くから」



日菜はかぶりを振ってすまなそうな顔になった。



未成年が社会人に混ざってここに居ること自体、窮屈だろう。



あのまま送って行きたかったが後で来る女性と打ち合わせの約束がある為に日菜を連れてくるしかなかった。



帰宅ラッシュの電車に日菜を乗せたくなかったこともある。



「千波にこんな可愛い彼女がいたんだ」



日菜の隣に座った青年は日菜の顔をよく見ようとじっと見つめる。



その途端、恥ずかしくなって日菜の顔が真っ赤になる。



「耕平、あまり俺の彼女に馴れ馴れしくするな」



千波の腕が日菜の肩に回り引き寄せた。



そのやり取りを面白くなさそうに見ているのは目の前に座っているピンクのスーツの女性と黒と白の格子のスーツを着た女性。





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