秘密の契約
はぁ~……帰りたい……。


オレンジジュースを飲みながら周りを見た。



社会人と高校生の自分を比較してしまう。



千波くんの大学時代の友達とはこんな機会もあったけどこんな雰囲気ではなくてもっと気が楽だった。



千波の目の前に座った十和子はさっそくビールで乾杯した後、千波に書類を見せながら打ち合わせをしている。



さりげなく千波くんの腕に手を置くのも気に入らない。



小さなため息がでる。



他の3人は会社の人の噂に花を咲かせていた。



あたしは……。



料理がくると日菜のお皿に千波は料理を取り分けてくれる。



気にしてくれているのはわかるけど、餌付けされている猫みたい……。



そんな事を考えながらも箸は進んでしまうんだけど。



「日菜ちゃんはどこで千波に会ったの?」



会社で一番仲が良い耕平でも千波の私生活は知らない。



ただ、一度だけ見た携帯の待ち受けが彼女の写真だった。



あまりにも可愛くてグラビアの子の待ち受けをダウンロードしたのかと思った耕平だった。




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