秘密の契約
ガッシャーン



賑わっている店内に陶器の割れる音が響き渡って日菜はビクッと身体を震わせた。



千波も十和子との話をやめて音のした方を見ている。



「ちょっと～せっかくお金払って活けてもらったんだから、どうするのよ！」



お客様に聞こえないように従業員に責めているのだがその声は日菜の耳にも聞こえた。



どうやら会計のカウンターに活けてあった花の花瓶が落ちてめちゃくちゃになったようだ。



「あなた活けられるの？」



責める女性は困った声になっていた。



「オーナーが見たら大目玉だわ」



週に１回、わざわざお金を払って活けてもらっているのだ。



店内がシーンとなっていたが原因がわかって再びにぎやかになった。



日菜の場所から会計カウンターが見えた。



落としてしまった従業員は泣きそうだった。



「日菜？」



千波が立ち上がった日菜を見た。



「行って来ていいかな？」



日菜は千波に聞いてみた。



「もちろん　助けてあげるといいよ」



その会話に耕平たちはポカンとしていた。



日菜は立ち上がるとカウンターに行った。




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