秘密の契約
夜遅くに千波が病室を訪れた。


千波の顔を見る日菜の顔は緊張していた。


日菜は上半身を起こした。


その膝の上に日菜の大好きな店のプリンの箱が置かれた。



「食欲はある？これ位なら食べられるかな？」


優しく微笑む千波に日菜は頷いた。



病院の食事はおいしくはない。



半分以上残してしまったのだ。



千波はベッドの傍のイスに腰掛けた。


そして箱を開けると可愛らしい容器に入ったプリンを取り出して日菜に渡した。


「ありがと……」


弱々しく微笑む日菜に千波は心配になった。



「まだ顔色が悪いね、もしかして頭痛がする？それともめまい？」


熱でもあるのかと日菜の額にそっと手を置く。


「だ、大丈夫だよ　どこも痛くない」


そう言っているが千波の目にはやはり日菜の様子がおかしい。




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