秘密の契約
日菜はパジャマの上から千波のコートをはおった。


千波くんのほのかに香る良い香り。


コートを羽織ると千波くんに抱きしめられている感覚に陥りそうだ。


こうやって自分の為に時間を使ってくれる千波に日菜の不安は消えて行った。




1階のロビー横の売店まで足を運んだ。


病室があるフロアーにも自販機はあったがすぐに戻るのもつまらなかったから。


小さなわがままに千波は言うとおりにしてくれた。



「何を飲む?プリンもあるよ?」


売店のデザートコーナーのプッチンプリンを指差す。


「ん~悩んじゃうな~」


真剣に大好きなプリンを見て悩んでいる日菜。


「なんで悩むの?食べれば良いのに」


千波は日菜が悩む理由がわからない。


「だって……ずっとベッドで寝ているのに甘いものばかり食べていたら太っちゃうもん」


さっきもおいしいママとお手伝いさんが作ってくれたお弁当をたっぷり食べちゃったし。


あのお弁当はママだけが作ったものじゃないんだと思う。


絶対にお手伝いの邦子さんが作った方が多いと思った。


「たった2日間なのに?そんな事を心配しなくても大丈夫だよ 日菜が太っても嫌いにならないよ?」


「本当?」


千波の言葉に瞳を輝かせてプリンを手にした。




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