秘密の契約
日菜をベッドに座らせると千波も隣に座った。


「身体が冷えただろう」


病院の中は暖かいが売店は出入り口が近い為、暖まってはいなかった。


「大丈夫だよ 千波くんのコートが暖かかったから」


「日菜……」


千波が顔を傾けて日菜の唇に口付けした。


「んっ……」


優しいキスに日菜は心が温まった。





夕食まで千波はいてくれた。


日菜の様子を見に来る看護師などは千波の容姿にあっけに取られるばかりだ。


日菜のバイタルをチェックしながら千波をチラッと見る。


ナースセンターでは千波の事で持ちきりだった。


夕食が運ばれると明日来るからと言って立ち上がった。



「千波くん……今日はありがとう……」


「どうしたの?そんなにかしこまって」


「そんな事ないよ 千波くんとずっと一緒にいられてうれしかったの」


頬をピンク色に染める日菜。


「そんな事を言われると帰りたくなくなるな」


両手を日菜の頬に挟むように置くと額にキスをした。





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