秘密の契約

翌日、郁斗が日菜を迎えに来た。


どうやら千波の命令らしい。


「まったく　兄貴は日菜に甘いよな」


「郁斗、＜特別なはからい＞って千波くんが勉強を教えてくれる事だったんだよね？ありがとう」


「ずいぶん素直じゃん」


郁斗が笑って茶化す。


「いつも素直だよっ」


「兄貴が面倒を見たんだから良い点数が取れるんだろうな？」


「それは無理かも　あれぐらいの勉強時間じゃ……」


日菜が大きくため息を吐いた。


「まあ、がんばれよな」


郁斗は自分のクラスに行った。





「日菜っ！」


大きな声で叫んで来たのは梨絵。


階段を落ちた瞬間を見たので見ていないクラスメイトより心配だったようだ。


「梨絵ちゃん　心配かけてごめんね　もう大丈夫だから」


日菜がにっこり笑うと梨絵が抱きついた。


「良かったよ～日菜ぁ」