秘密の契約
「失礼します」


ノックをすると中から年配の男性の声が聞こえ2人は中へ入った。


「あぁ、朝倉くん、十和子くん そこにかけてくれ」


「失礼します」


そう言って千波と十和子はソファーに腰をかけた。


「北海道のニセコにある我がホテルに力を入れているのは知っているね?」


「はい もちろんです」


千波が答える。


北海道のニセコと聞いて嫌な予感がした。


「ニセコへ出張に行って欲しいんだよ 今はクリスマスイベント中で向こうは人手不足らしい。指揮をする人間が必要なんだ。君たちなら申し分ないと思ってね」


十和子はうれしかった。


千波と出張、しかもクリスマスでムード満点のニセコのホテルだ。


外にあるスキー場には大きなクリスマスツリーが設置されていて評判は上々らしい。


「私の予定はありませんからすぐにでも行けますわ」


十和子が言う。


「期間はどの位ですか?」


日菜の事を考えたら24日の夜までには戻って来たい。


「クリスマスイベント中だからね……25日までだな 24日の夜にはホテルでお客様のパーティーがある 26日の朝に戻ってくるといい」


部長の説明で千波は心の中で深いため息を吐いた。


日菜に謝るしかないな……。


日菜には別の日で埋め合わせしよう・・・。


「わかりました 午後の便で発ちます」




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