秘密の契約

「あの電話は……千波くんに隣にいた人から……」


まだ熱々のホットミルクを一口飲むと言った。


「隣にいた人ってあの美人の？」


郁斗が聞く。


やっぱり郁斗から見てもきれいなんだ。


「千波くんの会社の人なの……」





日菜は千波の携帯にかけて彼女が電話に出た事や洋風居酒屋に行った時のこと。


そしてその夜の彼女からの電話の事をゆっくり話し始めた。


日菜はけっして人の事を悪く話さない子なのだが、今は悲しそうに戸惑いながら今までの事を話した。


誰かに心配ないよって言って欲しかったのかもしれない。


一番言って欲しい相手は千波なのだが。


あんな顔をされてしまってはもう顔をまっすぐ見ることが出来ない。