秘密の契約
「もういいの 千波くんなんてっ!」


日菜の口から出た言葉に3人が唖然とした。


「パーティー、たっぷり楽しむんだからっ!」


その言葉に3人はため息を吐いた。


兄貴、やばいぞ?こんな時の日菜は何をしでかすかわからない。





愛と梨絵はお化粧をすると高校生には見えない。


日菜だけは化粧をしても大人っぽくなれない。


郁斗はブラックのジャケットにブラックのYシャツ、クリスマスらしく赤の細身のネクタイで背が高いから大学生に見える。


「郁斗と愛ちゃん、合わせたみたいだね?」


日菜が並んだ2人を見て言う。


2人は何の事を言われたのか分からずポカンとした。


「ネクタイの色とドレスの色が同じなんだもん」


日菜がにっこり笑った。


「あたしと梨絵ちゃん、2人で楽しむから郁斗はちゃんと愛ちゃんをエスコートしてあげてね?愛ちゃん、きれいだから声かけられちゃうかもよ」


「それは日菜の方だよ」


愛が真っ赤になって首をぶんぶん振る。


クリスマス・イブだからといってホテルの客はカップルばかりではない。


男性同士、もしくは女性同士のグループもいる。


パーティーで相手を見つける可能性もある。


「とにかくせっかく来たんだから楽しもうよ」


梨絵が笑って言うと4人は部屋を後にした。



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