秘密の契約
日菜の足取りは重かった。


下に降りれば千波に会いそうで怖い。


エレベーターに乗ると7階の最上階から下まではあっという間だった。


パーティー会場に入る為に宿泊客が並んでいるのが目に入った。


みんなおしゃれをしている。


日菜は立ち止まった。


息苦しさを感じて大きく息を吸う。


呼吸が苦しかった。


「日菜?どうしたの?」


3人が立ち止まってしまった日菜の所まで戻ってきた。


「な、なんでもないよ」


大きく息を吐く。


「また過呼吸になりそう?」


梨絵が息を整えている日菜に聞く。


「ううん 大丈夫」


ゆっくり呼吸を繰り返した日菜だった。


そんな日菜を郁斗は心配げに見ている。


日菜は情緒不安定になってるみたいだ。


兄貴のせいだぞ……。




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