秘密の契約
携帯が振動していて千波はボタンを押した。


「はい」


千波の視線は日菜を捉えたままだ。


日菜はコートを手に持ったままでまだ着ていない。


『千波さん いったいどこにいるんですか?』


十和子だった。


千波は腕時計を見た。


「パーティーは終わる時間ですね?」


『え、ええ あと少しのお客様だけ残っているけど大体はいなくなったわ』


「30分後に行きます」


『わかりました 後でスタッフたちと打ち上げがありますから 絶対に来てくださいね?みんなががっかり……』


十和子がまだ話をしているのに千波は携帯を切った。


そして電源も落とした。




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