秘密の契約
「おい、日菜!」


郁斗の声と同時に日菜が崩折れるようにソファーに突っ伏した。


「兄貴なんだって?来るんだろ?」


郁斗が日菜に声をかける。


「……もうだめ……心が壊れちゃう……」


胸が締め付けられるように痛い。


その言葉を口にした途端、日菜は泣き出してしまった。


「日菜!」


郁斗がソファーから立ち上がる。


「日菜……いったいどうしたの?何を言われたの?」


3人は不思議そうな顔だ。


日菜は何も言わずベッドルームに入ってしまった。




「いきなりどうしたんだよ……?」


郁斗は心配そうな顔を閉まったドアに向けた。


「急に日菜の様子がおかしくなったよね?」


梨絵が言う。


愛は日菜の床に転がっている携帯を拾った。


「まったく 世話が焼ける2人だぜ!! 俺、兄貴の所へ行ってくる!」


郁斗が部屋を出て行った。



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