秘密の契約

繋がる心

千波の寝ているベッドまで1メートルという所で足が止まる。


千波の点滴を受けている姿に日菜の瞳は潤む。


今日一日で涙が枯れるくらい泣いたのにまだ涙が出てしまう。


「千波くん……」


泣きたくないのに……。


手の甲でごしごしと涙を拭いた。




「そんなに乱暴に拭いたらだめだよ 日菜」


うつむいて涙を拭いていた日菜は驚いて顔を上げた。



眠っているものと思っていた。


「千波くん……」


「日菜、もう泣かないで」


身体を起こそうとする千波に日菜は駆け寄る。


「だ、だめだよ 寝てなくちゃ」


日菜が千波の肩を押さえて寝かせようとする。


「もう大丈夫 点滴のおかげで身体が軽くなった」


「まだ点滴も途中なのに……」


心配そうな顔を見せる日菜。


「心配をかけてごめん それと行くと言ったのに破ってしまって」


「いいの、あたしが悪いの 全部あたしが悪いから」


「日菜は悪くない 不安な気持ちにさせて申し訳なかったよ」


日菜の腰に手を伸ばし引き寄せる。


日菜はベッドの端に腰をかける形になった。





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