秘密の契約
「待って!待ってください 千波さんっ」
十和子が追いかけてきた。
千波が立ち止まった。
「どうしましたか?」
冷たい声だ。
背筋が凍りつくような感覚を受けた十和子は恐る恐る切り出した。
「あの、私たちのこと話したいの でも、ここでは……」
従業員しか入れない場所だが廊下なので歩いている人はいた。
「私たちの事?……ここで話してください」
千波はニコリともせずに言うと十和子は困った顔になった。
「私、千波さんが好き いえ、好きという感情よりももっと……愛しているんです」
十和子は堂々と恥ずかしげもなく言った。
「……俺は貴方になんの感情も持っていない わが社に必要なコマの一つだと思っていますから」
「え……?」
冷たく言い放たれて十和子は唖然となった。
彼の言葉が理解できない。