秘密の契約

「千波くん　身体はもう大丈夫？足首は？」


席に着くと日菜が聞く。


足を引きずってはいないように見えるけど……。


「もう大丈夫だよ　昨日一緒に寝てくれたおかげかな？」


意味ありげに微笑まれて日菜の顔が真っ赤になった。


「良かった……」


ポツリと呟く日菜が可愛くて千波は抱きしめたくなった。




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「十和子さんとは何もないから日菜はもう気にしないで欲しいんだ」


「ん……」


千波の口から十和子の名前が出ると日菜の顔が陰る。


「俺が愛しているのは日菜だけだよ」


嘘偽りのない瞳で見つめる千波。


「あたし……」


「あたし？」


あたしの後に言葉が出ない日菜を促す。


「千波くん、ごめんなさいっ」


テーブルに着いてしまいそうなくらい頭を下げる。


「日菜？なぜ謝るの？すべて俺が悪いって言っただろう？」


「だって……千波くんを信じて東京で待っていればケガなんてしなくてすんだし体調も悪くならなかったのに……全部あたしのわがままだもん」