秘密の契約
教会に近づくとパイプオルガンの綺麗な音が聞こえてきた。


「パイプオルガンの音……」


階段の上に人が立っていた。


「パパ……?」


パパが……どうして?


白いバラのブーケを手にした父親をポカンと見てから隣の千波を見る。


「日菜、今日は本物の結婚式なんだ」


「本物……結婚……式……」


ようやく納得。


「おめでとう 日菜 千波君」


パパが階段を降りてきてあたしたちに祝福の言葉をかける。


「パパ……」


頭の整理が出来ないままあたしは千波くんからパパに渡された。






それからは夢のような出来事だった。


パパの腕につかまって開けられた扉を抜けるとまず目に入ったのは愛ちゃんと梨絵ちゃん。


ママや萌、郁斗や千波くんの家族を目にして日菜の目に涙が溢れた。


そしてにこやかな笑顔を浮かべた夏葉さんとあやめさんの姿もあった。





< 682 / 684 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop