いにしえの伝説~鎖に絡まる約束~
「…ネ、…リュ…ネ、リューネ?」
そう呼び掛ける声にはっと意識を戻す。
目の前には銀色の目が覗いていた。
「…近い」
ドスっと目の前の顔に向けて短刀を刺す。
「…動揺したら形振り構わず
短刀で刺す癖は直ってないようだな。」
男は何事もなかったかのように
顔に刺さっている短刀を抜き、
リューネに返す。
その顔には傷ひとつ負っていない。
「…お前が近づきすぎずに話せばいいだろう」
リューネは短刀を受け取りながら
少し不満気に言う。
「未来の夫に言う言葉か?」
呆れたような表情の男は
目を細めながら言う。
リューネは男を見ることなく呟く。
「所詮上っ面だけの、だろ?」
その呟きが聞こえたかのように、
「また、思い出してたのか?」
と尋ねた。
「…さぁな」
リューネはフと笑いながら、
男に背を向ける。
そのまま地上を撫でるように
腕を動かす。