いにしえの伝説~鎖に絡まる約束~
「コホン…まあ、言いたいことは
山ほどありますが、
それではフィーネル様が休めませんわ。
それは妻としてあるまじき行為。」
出会ってから数年。
少女だったネルファは
女性となって綺麗になり、
時期[巫女]になるのも時間の問題だと
言われるほど、巫女見習いとしての
働きぶりも目を見張るものだった。
そして、自分の愛しい人になることも―
(それが、悲しい結末になることも―)
「今更ですが、お茶でも
いかがですか?」
そう言って彼女が
ずっと持っていたトレイを机に置く。
カップからほんのり漂う
紅茶の香りに肩から力が抜ける。
「いつも、ありがとう」
自分の好きなアールグレイ。
机に飲みかけのカップが置いてあるのを
見かけ、それから毎回淹れて
くれるようになった。
「あなた様の為です。」
そう言ってあの太陽のような笑顔で笑う。