いにしえの伝説~鎖に絡まる約束~

思わず口が歪む。
心にも無いことを…。
それは大臣や貴族にも
会うたびすれ違うたびに
言われた。だがその目には
嫉妬、憎悪がちらついていた。
女たちは[元帥]という肩書きに
目を光らせ、興味を引かせようと
躍起になっていた。
そんな空気や視線に耐えきれず
逃げるように人目につかない
通路を選び、自室がある塔へ
向かっていたが…
まだ人がいたか。

「…そんな対したことはしていない。
俺は国のためにただ進むだけだ。」
少女の目にはきっと肩書きが
歩いているように見えるのだろう。
何故かそんな少女を見たくなかった。

「その対したことが」
凛としたその声に
いつの間にか下がっていた
視線を少女に向けた。

「どのくらいの事かは
存じ上げませんが」
その瞳は真っ直ぐこちらを捉え

「少なくとも
陰険なジジイどもや身の程知らずの
あばずれより立派なお方で」

「こんなところでくすぶる
アイン・フィーネル様ではないはずです」
ぱあと太陽がそこにあるかのように
少女は笑った。

―それが後の[巫女]と呼ばれるネルファと
[元帥]になったばかりのフィーネルの出逢い―
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