オタク女子。
01 オタク女子
***
夜の飲み屋で不気味な笑い声が響いていた。
「ふふふふ…ふひひひひひ!!」
「…」
「あほほほほ!!うひゃぁ!!」
「…」
「きぁぁぁああああ!」
「…お前さ、今自分がどんな顔になってるかわかってる?」
「はっ!」
いけない、しまった。
慌てて口を手で押さえてオホホ、と上品な笑い方に変更する。ふーーあぶねぇ。ひかるが注意してくれなかったら私、変な人になってたわ!
「充分変人だから」
「違う!」
「どこが?」
「そこが!」
「…」
お願いだからそんな哀れみの目で私を見ないでおくれ。私のガラスのハートがブロークンしてしまうではないか。
「ひかるにはわからないの?漫画の魅力がッ!」
「さつきにはわからないのか?本の魅力が」
「本は活字一杯じゃないかぁ…」
「漫画だって文字くらいあんだろ」
「量が違う。量が!」
「だからお前はオタクなんだって」
ぐさり。
オタクだと…!?それは女子に言う言葉ではない!!
最新刊を持つ私の手が怒りでわなわなと震えた。