オタク女子。


「走れメロスって必ず教科書に載ってるじゃない?」
「やめろ、お前の解釈は聞きたくない。俺は純粋に…」


ひかるが耳を塞ぎ始めた。
塞いだら意味ないじゃないか、ひかる君。強引にその手を耳からひっぺがすと私はその続きについて話始めた。


「きっと太宰治も"頑張れ!『走れメロス』"じゃなくて、"もっと真面目に『走れメロス』"って言いたかったんだと思うのよ」
「おまえーー」
「だって、川が現れたら泣き、山賊に襲われまどろみ、セリヌンティウスと再会して殴り、……とんでもない暴挙の連発!しかも彼は走ってなかった、歩いてたらしいじゃないの!」
「ぐぅ…」


どうやら彼もその辺は否定出来なかったらしい。机に突っ伏してゴニョゴニョ言っている。どうやら今日は私の勝ちらしい。





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