オタク女子。

「…泣かせて頂いても?」
「クリーニング代貰えるなら」
「あげないけど、ありがたく泣かせて頂きます」

と言った途端に素直に涙が溢れてきた。
メイクとかもう気にしない。ゾンビ顔で帰ることになっても全然気にしない。

ひかるはそんな私を本当に泣いている子供をあやすようにしばらく抱き締めながら背中を擦ってくれていた。







「…ありがとうございました。もう平気です」
「…ん」


お互いにそっと離れるとまた並んで駅に向かって歩き出した。何も話さない。でも心地よい沈黙だった。

そして私の中でひかるの立ち位置が微妙に変わったのを感じた。



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