オタク女子。
02 オタク失格

***


「お前は言うなれば葉蔵だ」
「…は?」
「大丈夫、最後に俺が救ってやる」


ポクポクちーーーん!!

どうやらひかる君は昨日"人間失格"を読んだようであります。オフイスのPCのキーボードをひたすら打つ傍らその太宰色に染まってしまった彼の相手を仕方なくする。


「え、なに?何が言いたいのか全然わからないんですが進藤くん?」
「まあ、わからないだろうな」
「なにそれ!その何だかよくわかんない発言しないでくれる!この文学オタク!」
「お、誉め言葉…」
「喜んでんじゃねーよ!」


因みにこれは全て小声での会話。

オフィス内でこんな話堂々と出来るわけがない。
進藤とのオタク同盟を結んでいる身としてはこの不思議な同盟が周囲にバレた瞬間に私の身の破滅が訪れる。

しかも明らかにイタイのは完全に私。
そんなこと、させない。絶対に!





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