オタク女子。

うし!案外なんとかなりそうなもんだな!
私はタクシーの中で気を緩めた。しかし、実際にはそんなに上手くいかないものである。そもそも誤魔化そうとする精神が駄目だったのだ。


タクシーから降りて私は口をポカーンと開けた。
ひかるの家は一言で言えば豪邸だった。なんだ働く必用ねぇじゃねぇか。綺麗に整備された庭に木造の昔ながらの住宅。ドラマに出てきそう。

客間に案内され、私はそこにいた人物に緊張する。車イスには乗っている初老の女性。ひかるの母親だろう。


「ようこそ。いらっしゃいました。こんな見苦しい姿なんですけど、気になさらないで下さいね」

「今日はお招き頂きありがとうございます。私、星野さつきと申します。いつもひかるさんにはお世話になっております。これ、地元では美味しいって評判の焼き菓子なんですけど、よろしければ……」

「まあ、虎屋のじゃない!大好きなのよ私」


……つ、掴みはOKか?

そうして話しているうちに段々と私とひかるとの関係についての話題に移ってくる。ボロを出さないように最大限の気を使いながらの会話は私の神経をすり減らしていく。




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